中古マンションの耐震性と選び方

中古マンションを購入する際、耐震性は必ず確認すべき重要なポイントです。日本は地震大国であり、過去には大規模な地震が発生して多くの被害をもたらしました。よって、安全で快適な住まいを選ぶためには、マンションの耐震性能を十分に理解する必要があります。まず、建築基準法に基づく耐震基準について知識を深めましょう。耐震基準は大きく2つに分けられ、昭和56年（1981年）6月1日以降に建築許可申請をした建物を新耐震、それ以前のものを旧耐震としています。新耐震基準については、震度6強の地震で倒れない住宅、旧耐震基準については、震度5程度の地震に耐えうる住宅と言われており、この2つの基準だけで言えば、地震被害は旧耐震の方が多くなるのは事実です。

マンションを購入する際は、もちろん新しければ新しいほど、耐震性の高いものであるのは確かですが、近年では物価高騰の影響により、中古マンションの購入を検討する方が増えてきています。

そんな中で、どのようにマンションの耐震性を判断すればよいのか、不安に思われる方が多くいらっしゃいます。

1つのポイントとして、旧耐震の時期にも1度建築基準法の改正がなされているということ。旧耐震基準は、改正前の1971年以前と、改正後の1972年～1981年に分かれ、実は地震の被害状況も大きく異なります。

実際に阪神淡路大震災の鉄筋コンクリート造の建物被害状況を見てみると、1971年以前（旧耐震基準改正前）の建物は、倒壊または崩壊する割合が高く、一方で1972年～1981年（旧耐震基準改正後）と1982年以降（新耐震基準）では大きく被害の状況が変わらないことが分かります。あれだけの大地震でしたが、被害を割合だけでみると、1972年以降の建物であれば、旧耐震基準の建物であっても、基本的にはしっかりと耐震性があることが分かります。

マンションの形状で耐久性を考えたときに注意していただきたいのが、以下3つです。

・1階が駐車場のようなピロティ構造ではないか

・L字型などのバランスが不安定なものでないか

・建物の高さが部分的に違わないか

特に1階が駐車場のようなピロティ構造は、1階部分が柱だけの構造であるため、その部分に地震の力が集中してしまい、破壊されてしまう確率が高くなります。

その他、L字型や建物の高さが部分的に違う建物など、形状がデコボコしているマンションについても、地震の力が弱い部分に集中してしまい破壊されるリスクが高くなってしまいます。

そのため、耐久性のあるマンションとしては、安定した形であること、また、低層階のマンションであることも安定感のある形状としては1つのポイントになります。築年数による耐震性の判断はもちろんですが、建物の形状についてもこの機会にしっかりと考えてみてほしいと思います。

マンションの区分所有者は毎月管理会社から修繕積立金と管理費が徴収されます。この修繕積立金を毎月マンション全体で積み立てていくことで、12～15年に1度の大規模修繕を行い、建物や設備を適切にメンテナンスしていくのです。

しかし、修繕積立金の滞納が増えてしまうと、十分なメンテナンスを行うことができず、マンション自体の寿命に悪影響を及ぼしてしまいます。そのため、中古マンションの購入を考えている方は、修繕積立金の積み立て状況や、これまでの修繕履歴をしっかりと把握する必要があります。これらは、管理会社から取り寄せる重要事項調査報告書というものに細かく記載されているので、しっかりと確認するようにしましょう。

修繕積立金の滞納に関しては、住民の公共意識やモラルの低さが影響することもあるので、マンションの駐輪場や集合ポストなどを見てみて、乱雑な状態であったり、ゴミが散乱している状態であれば、購入は控えた方がよいかもしれません。

マンションの築年数や形状ももちろんですが、修繕状況といった視点からもぜひ検討してみてくださいね。

中古マンションの購入において、耐震性と耐久性は避けて通れない重要な要素です。特に、南海トラフの発生が危惧されている今、自分と家族の身は自分で守る、そういった意識でマンション購入をしていただくことが大切だと我々は思っております。理想のリノベーションだけでなく、お客様が安心していただけるような物件探しを精一杯お手伝いさせていただきますので、どんな些細な不安やお悩みでも、お気軽にご相談くださいませ。