リノベーションに適したマンションの構造とは?
目次
マンションの構造の種類①
マンションの構造の種類は、その「材料」と「造り方」の違いによってそれぞれ区別されています。
まずは材料による区別から見ていきましょう。
マンションの壁や柱や梁、以下の3つの構造のいずれかが採用されています。
●鉄筋コンクリート造(RC造)
●鉄筋鉄骨コンクリート造(SRC造)
●鉄骨造(S造)
それぞれの基本的な特徴について詳しく解説していきます。
RC造
鉄筋(Reinforced)+コンクリート(Concrete)を組み合わせてつくる構造です。
鉄筋は、引張力(部材を伸ばす力)に強い反面、熱に弱く錆びやすいという弱点があります。
逆に硬いコンクリートは劣化しにくく、また圧縮力(押し潰そうとする力・荷重)に対して力を発揮しますが、引張力に対する抵抗力は弱いため、ひび割れなどの弱点が生じます。
この2つの材を組み合わせることで、引張力は鉄筋が負担し、圧縮力や熱錆等の劣化にはコンクリートが働きます。
このようにそれぞれの材の長所・短所を補い合うハイブリット工法がこの「RC造(鉄筋コンクリート造)」です。
メリット
・耐久性、耐火性、断熱性、防音性に優れている
・コンクリートを自由に形成することができるためデザインの自由度が高い
・窓などの開口部を多く設けることができる
デメリット
・重量が大きな建築物のため、大空間を作りにくい
・気密性が高いことで換気の状態によっては結露が発生しやすい
SRC造
鉄骨(Steel)+鉄筋(Reinforced)+コンクリート(Concrete)を組み合わせてつくる構造です。
RC造の鉄筋の中心部分に鉄骨を入れて構成されます。
硬いコンクリートに合わせて、柔らかく粘り強さのある鉄骨を入れることで、しなりを利用して衝撃を逃がすため、耐震性に優れます。
メリット
・RC造に鉄骨を組み合わせていることで、硬く、耐震性に優れる
・防音性、耐火性に優れている
デメリット
・気密性の高さから、結露やカビの発生に注意が必要
・建築コストが高く、工期も長いため価格が高くなる傾向にある
S造
柱や梁に鉄骨を使用する構造です。
S造の中でも鋼材の厚みによって「軽量鉄骨造」「重量鉄骨造」に分かれます。
軽量鉄骨造は、戸建て住宅や小規模な店舗で採用され、重量鉄骨は大空間が必要な工場やオフィスビル、テナントビル等で採用されることが一般的です。
メリット
・工場で製造された部材を現場で施工するため、品質が安定している
・工期が比較的短い
・建築コストが比較的安価
デメリット
・音や振動が響きやすい
・熱で鉄骨が変形することがあるためRC、SRCに比べると耐火性に劣る
・鉄骨のしなりによる揺れを感じやすい
マンションの構造の種類②
続いて造り方による区分を見ていきましょう。
「ゆくゆくは間取りを自由に変更したい」「リノベーションして素敵な部屋に変えたい」という方は、特にチェックしておきましょう。
厳密にいうと造り方の違いで以下2つの構造があります。
●ラーメン構造
●壁式構造
それぞれの基本的な特徴について詳しく解説していきます。
ラーメン構造
柱と梁のフレームで建物を支える構造のことをいいます。
主にRC造、SRC造、S造の建物で採用され、マンションの多くはこのラーメン構造で作られています。
柱と梁でフレームを造り、その中に壁やスラブをつけ足していきます。
柱や梁が室内側に出っ張るため、家具のレイアウトに少し工夫が必要です。
しかし近年では室内側に梁が出ない逆梁工法や、逆梁アウトフレーム工法などすっきりとした室内のラーメン構造も増えています。
メリット
大きな開口部を設けることができる
間取の自由度が高い
地震エネルギーを吸収するため耐震性に優れている
デメリット
室内側に柱と梁がある場合、圧迫感が出たり、レイアウトに工夫が必要になる
壁式構造
柱や梁、耐力壁と床を一体化させた構造でRC造の地上5階以下の低層マンションで採用されます。
メリット
室内に柱や梁が出っ張らないためすっきりした室内
デメリット
室内の壁が撤去できないので間取の自由度は低い
大きな窓や開口が設けにくい
リノベーションに向いているのは?
まず、材料に関しては、RC造とSRC造はどちらも暮らし心地に大きな差は無いでしょう。
S造に関しては分譲マンションではあまり採用されていません。
また気密性や断熱性はRC造、SRC造に比べるとS造はやや劣ります。
検討しているマンションがどんな材料で作られているのか、外観から判断するのは専門家でも難しいです。
ポータルサイトの物件概要を確認するか、担当者に聞いてみましょう!
造り方に関しては、リノベーションで間取変更の自由度が高いのはラーメン構造のマンションです。
マンションは基本的に住戸の内側(専有部分)は自由に変更することができますが、壁式構造の場合、躯体として建物を支える大切な構造物の壁が室内にある状態ですので、撤去できずに間取変更に制限がかかってしまいます。
そのため、スケルトン状態にできるラーメン構造のマンションの方が自由に間取をプランニングすることが可能です。